2006年TVアニメ感想総評
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はじめに

毎年恒例、TVアニメ感想総評です。
06年内中にTV放送され、最終回を迎えた作品から
ベスト10を選出します。
選出方法は昨年と同じ、今回はマイナーチェンジもなし。

脚本・構成評価(脚本の整合性、意外性、全体構成などを評価)
作画・演出評価(良作画に支えられた良演出の質・量などを評価)
声優演技評価(印象的な芝居、役の適格性などを作品単位で評価)
主題歌・劇中音楽評価(劇中BGMと主題歌の印象度を評価)
独自性・作家性評価(斬新さ、新鮮さ、独自視点などを評価)
コミュニケーションツール評価(話題性、ファン間での盛り上がりを評価)
萌え・サービス描写評価(官能に訴えかける描写の質量、適格性を評価)
クオリティー安定度評価(作品全体を通じての安定度を評価)
キャラクター魅力評価(人気、魅力的キャラの作品における質量を評価)
爆発度評価(一瞬のきらめき、瞬間的な燃焼度の高さを評価)

以上10部門でそれぞれトップ10を選出、
上位から10〜1点を与え、最終的な合計点で
総合ベスト10を決定します。
さて、今回は本当に大変なことになっているので、
まずは見ていただきましょう、06年候補作品一覧――。

うえきの法則
capeta-カペタ-
おねがいマイメロディ(くるくるシャッフル含まず)
エンジェル・ハート
闘牌伝説アカギ
鍵姫物語永久アリス輪舞曲
キン肉マンII世アルティメット・マッスル2(他シリーズ含まず)
灼眼のシャナ
甲虫王者ムシキング〜森の民の伝説〜
マジカノ
舞−乙HiME(他シリーズ含まず)
かりん
冒険王ビィトエクセリオン(無印含まず)
ポケットモンスターアドバンスジェネレーション(他シリーズ含まず)
蟲師(地上波)
陰からマモル!
落語天女おゆい
タクティカルロア
ワンワンセレプーそれゆけ!徹之進
ロックマンエグゼBEAST(他シリーズ含まず)
ロックマンエグゼBEAST+(他シリーズ含まず)
韋駄天翔−イダテンジャンプ−
ふしぎ星の☆ふたご姫(Gyu!含まず)
BLOOD+
交響詩篇エウレカセブン
ゾイドジェネシス
金色のガッシュベル!!
Fate/stay night
よみがえる空-RESCUE WINGS-
爆球HIT!クラッシュビーダマン
Canvasu2〜虹色のスケッチ〜
おろしたてミュージカル練馬大根ブラザーズ
LEMON ANGEL PROJECT
焼きたて!!ジャぱん
クラスターエッジ
ガンパレード・オーケストラ
かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜
IGPX(地上波)
半分の月がのぼる空
怪〜AYAKASHI〜(3シリーズ総合)
ノエイン もうひとりの君へ
BLACK CAT
ローゼンメイデン・トロイメント(他シリーズ含まず)
Solty Rei
ガイキングREGEND OF DAIKU-MARYU(旧作含まず)
プレイボール2ndシーズン(1st含まず)
アニマル横町
ガラスの仮面
今日からマ王!(BS放送)
ふたりはプリキュアMaxHeart(無印・スプラッシュスター含まず)
シュガシュガルーン
雪の女王
びんちょうタン(地上波)
REC−レック−
メジャー2ndシーズン(1st含まず)
しにがみのバラッド。
格闘美神武龍(無印・REBIRTH総合)
ARIA The NATURAL(無印含まず)
スクールランブル二学期(無印含まず)
涼宮ハルヒの憂鬱(地上波放送順)
simoun−シムーン−
吉永さん家のガーゴイル
ストロベリー・パニック
エア・ギア
桜蘭高校ホスト部
ラブゲッCHU!〜ミラクル声優白書〜
ガラスの艦隊
いぬかみっ!
錬金3級まじかる?ぽか〜ん
.hack//Roots
ザ・フロッグマンショー(2シリーズ総合)
プリンセス・プリンセス
スパイダー・ライダーズ〜オラクルの勇者たち〜
ゼーガペイン
xxxHOLiC
ああっ女神さまっそれぞれの翼(他シリーズ含まず)
魔界戦記ディスガイア
リングにかけろ1−日米決戦編−(無印含まず)
ウィッチブレイド
SoulLink
少女チャングムの夢
ひまわりっ!
ひぐらしのなく頃に
女子高生GIRL'S HIGH
夢使い
西の善き魔女
うたわれるもの
ブラック・ジャック21(他シリーズ含まず)
RAY THE ANIMATION
BLACK LAGOON(1st・2nd総合)
姫様ご用心
砂沙美☆魔法少女クラブ1st(2nd含まず、WOWOW放送)
ザ・サード〜蒼い瞳の少女〜
獣王星
吉宗
ツバサ・クロニクル2nd(1st含まず)
機神咆吼デモンベイン
ハチミツとクローバーII(無印含まず)
貧乏姉妹物語
ゼロの使い魔
つよきすcool×sweet
内閣権力犯罪強制取締官財前丈太郎
無敵看板娘
学園ヘヴン
となグラ!
コヨーテラグタイムショー
恋する天使アンジェリーク
N・H・Kにようこそ!
ちょこッとSister
イノセント・ヴィーナス
働きマン
ギャラクシーエンジェる〜ん(他シリーズ含まず)
BLACK BLOOD BROTHERS
009−1
あさっての方向。
はぴねす!
マージナル・プリンス〜月桂樹の王子達〜
乙女はお姉さまに恋してる
らぶドル
くじびきアンバランス
Gift〜eternal rainbow〜
夜明け前より瑠璃色な
銀色のオリンシス
バーテンダー

(順不同)

全124作品です。

何かの間違いじゃないかと思ったんですが、
どう数えても124作品あります。
多いだろうとはわかっていたが、100を遥かに超えてくるとは……!!
まあ、おののいていても仕方がないので、とにかくまずは説明。

メジャーとツバサ・クロニクルは第一期と第二期で分けます。
メジャーはキャラデザ・声優からして違うんで当然ですが、
ツバサの方も去年第一期の方はエントリーしてしまったので。
内容的にもオリジナルメインになっていたので別物扱いに。
他の、ハチクロやローゼンなど第一期と第二期の放送に
間が空いているものは基本的に別扱いに。
ブラックラグーンは制作側の事情で連続のはずが
間が出来ちゃっただけなのでまとめる。
ロックマンエグゼBEASTと+は番組の形式が違うので分割。
ブラックジャックも無印と21は形式が違うので分割。
タイトル変更で続編が継続中のマイメロやふたご姫は、
第一期を06年に含めた方がいいだろうから分ける。
逆に格闘美神武龍はタイトルリニューアル以外は
違いがないうえ、続編も終わっているのでまとめる。
怪〜AYAKASHI〜に関してはちょっと悩んだんですが、
一応三作で一つの番組という形式だったので、まとめることに。

チャングム、フロッグマンショー、マージナルプリンス、
吉宗、バーテンダーなど、
初回と最終回くらいしか感想を書いていないものに関しては
省こうかとも思ったんですが、まあそこだけ押さえておけば
魅力は理解出来る作品ばかりだったんで残すことに。
砂沙美は地上波版は考慮せずWOWOW版第一期のみで評価。
涼宮ハルヒは地上波放映順での評価あることを明記しておく。

TVKが放送してくれなかった地獄少女や僕等がいたは残念ながら除外。
それと、ネット上で公開された作品も06年は飛躍的に増えたが、
筆者のPC環境では視聴に難があり
ほとんど観られなかったのでリストには加えない。
「MUSASHI〜GUN道〜」が入らない
06年ランキングなんて意味ねーよ!!……みたいな
過激MUSASHI派の意見があるかも知れませんが、
大丈夫、加えても爆発度評価くらいしか引っ掛からないから。

では、開始前に毎年恒例の宣言を。

評価は基本的に筆者の独断です。

1 脚本・構成評価

基準としては、第一にコンスタントな安定度、
第二にサプライズを含めた展開のうねり、
最後に独自性や新鮮さ。驚きや独自性などは
別の項目があるので少し下げて考えるということで。

1位:ゼーガペイン
2位:舞−乙HiME
3位:交響詩篇エウレカセブン
4位:Solty Rei
5位:simoun−シムーン−
6位:涼宮ハルヒの憂鬱(地上波放送順)
7位:甲虫王者ムシキング〜森の民の伝説〜
8位:ウィッチブレイド
9位:ストロベリー・パニック
10位:ゾイドジェネシス

まず、ハルヒの時系列シャッフル構成をどう評価するかについて。
構成の力で視聴者を惹き込んだというのは確かだが、
とはいえそれは原作をシャッフルしただけなので、
普通に脚本とストーリー構成で勝負している作品よりも
上にするわけにはいかないだろうと判断。
で、結果ハルヒを真ん中にして脚本力を見せつけた作品と、
良いところまで行きながらちょっとつまずいた作品に分かれた。
まず、ゼーガ一位は確定。
二位は最初エウレカを考えたのだが、序盤から中盤にかけての
実験的な展開を素直に評価することが出来ず、
結局ベタを踏みながらも技術的な巧緻さを見せつけた舞乙を上位に。
ソルティはもう一歩押しの強さがあれば一位まで駆け上がれたなぁ。
シムーンも素晴らしい脚本ながらダイナミックさに欠けたのが惜しい。
ムシキングは中盤ダレたのがとにかく残念。
4クールがアダになってしまったなぁ……。
ウィッチは丁寧ながらとにかく地味だったのがマイナス点。
ストパニは……意外な展開と脚本で引っ張るという面では
もっと上でもいいんだろうけど、テイストがさすがに変化球過ぎる。
ラストは、砂沙美など良い話系のものも候補に上がったのだが、
4クールかけて大河ドラマを描ききった点でゾイジェネ。

2 作画・演出評価

シリーズ通しての安定度、という評価は別に
クオリティー安定度があるので、
ここでは主に最高到達点を見ます。
普段多少崩れていても、より高く飛んだ方の勝ち。
接戦の場合は高く飛んだ回数勝負。

1位:ノエインもうひとりの君へ
2位:蟲師(地上波)
3位:涼宮ハルヒの憂鬱(地上波放送順)
4位:交響詩篇エウレカセブン
5位:ガイキングREGEND OF DAIKU-MARYU
6位:うたわれるもの
7位:ひぐらしのなく頃に
8位:うえきの法則
9位:怪〜AYAKASHI〜(3シリーズ総合)
10位:BLACK CAT

蟲師とハルヒの怒涛の超絶作画を振り切ってノエイン一位。
蟲師とハルヒがTVアニメの限界に挑んでいるのに対して、
ノエインはアニメーターの限界に挑んでいる。その僅かな差。
四位は総合力でエウレカ。
ガイキング、うたわれ、ひぐらしは「神回」の回数差。
常にレベルが高く、たまに凄まじい回もあったうえきと黒猫が入り、
間に化猫だけなら確実に上位だったであろう怪が挟まる形に。
しかし舞乙や009−1が洩れるとは……。
06年は本当に、キャベツなどの一部例外を除けば
作画演出のクオリティーの高さはどの作品も見事だった。
クオリティ管理が徹底し、底辺が底上げされた結果、
目立つ為にはアニメーターや演出家の個性を活かさなければ
ならなくなったという非常に面白い状況が生まれてきている印象。

3 声優演技評価

これはまあ総合力重視。
一人突出して上手い人がいても駄目、
かといって大勢豪華声優を揃えてダラダラやっていても駄目。
作品の総体として、声優陣が極めて大きな位置を占めていると
判断される作品から上位に評価していく。

1位:ひぐらしのなく頃に
2位:闘牌伝説アカギ
3位:交響詩篇エウレカセブン
4位:simoun−シムーン−
5位:桜蘭高校ホスト部
6位:舞−乙HiME
7位:おろしたてミュージカル練馬大根ブラザーズ
8位:涼宮ハルヒの憂鬱(地上波放送順)
9位:ARIA The NATURAL
10位:BLACK LAGOON

あれ!? ハルヒ低っ!!
改めて考えてみると、杉田智和が一人で頑張ってた面も大きいからなぁ。
キャラソンなんかは良かったんだけど、それだったら本編で
歌いまくっていた練馬大根の方が上なんじゃないかなど色々思案しこの結果。
ひぐらしは若手から中堅に入ってきた人気声優陣が揃って
狂気演技の競い合いをしているような状態に凄く聞き応えがあった。
アカギは本当に作品の七割くらい声優で出来てたからなー。
萩原聖人も良かったが、数々の敵役、そしてナレーションの古谷徹が絶品。
エウレカとシムーンはドラマの重さに声優が良く応えていたと思う。
ホスト部はチームワークの良さが光り、
舞乙は前作からの継続組と新規組の融和が上手く行っていた。
ARIAはもう、声優陣が独特の空間を生み出している。
ブラクラはアニメには珍しい外画的な演技を評価。
しかし……個人的には新人が頑張っていた
ゼーガや砂沙美を入れたかったなぁ。

4 主題歌・劇中BGM評価

音楽スタッフにそれほど精通しているわけでもないので、
あくまで耳に残った歌・BGMの質や量で評価させていただきます。

1位:simoun−シムーン−
2位:涼宮ハルヒの憂鬱(地上波放送順)
3位:交響詩篇エウレカセブン
4位:おねがいマイメロディ
5位:Fate/stay night
6位:甲虫王者ムシキング〜森の民の伝説〜
7位:うえきの法則
8位:ゼーガペイン
9位:ARIA The NATURAL
10位:BLOOD+

10個じゃ足りない……!!
うわー、アレやコレやが入らないー。
特に主題歌だけ考えると06年は大豊作だった気がする。
うたわれやシャナのような作品の世界観を良く現したもの、
LAP・らぶドル・おとボクなどのアイドルユニット系、
舞乙やローゼンなど前作イメージを更に拡大させたもの、
タイアップ系にしても作品とズレたものは滅多になく、
本当に全体のレベルが高かった。
なので、結局主題歌よりはBGMや劇中歌、
その使われ方などを重視した評価になった。
世間的にはハルヒなのだろうか、筆者としては放送が十五分被り、
商業的にも圧倒的大差をつけられたシムーンの方を音楽では上に見る。
エウレカ以降はどれも良質なBGMを的確な演出で
作中に落とし込んでいて、甲乙付けがたい部分もあるのだが、
とりあえずこういう順位に。
BLOOD+はもっと上を狙える素材はあったんだけど、
結局あまり印象的な音楽の使い方が出来なかったなぁ。

5 独自性・作家性評価

独自性の方を優先し、次に作家性を見るという点は変わりません。
ただ、どちらも歴史的な流れというのはある程度
考慮しないと判断が難しくなるか。

1位:怪〜AYAKASHI〜(3シリーズ総合)
2位:よみがえる空-RESCUE WINGS-
3位:闘牌伝説アカギ
4位:蟲師(地上波)
5位:ザ・フロッグマンショー(2シリーズ総合)
6位:バーテンダー
7位:甲虫王者ムシキング〜森の民の伝説〜
8位:simoun−シムーン−
9位:おろしたてミュージカル練馬大根ブラザーズ
10位:xxxHOLiC

作画演出や音楽で、06年は全体レベルが高いと書いたが、
その反動か独自性のある作品となるとぐっと減る。
色々考えたのだが、まず化猫の完成度みならず、
怪談話のアニメ化に挑み三作それぞれ別個のアプローチを試みるという
番組の体制そのものを評価して怪が一位。
二位はリアルな芝居とドラマ作りを貫き通したよみがえる空。
次いで原作を最良の形でアニメとして再現する為に、
まるで正反対の道を行ったアカギと蟲師。
フロッグマンショーは、フラッシュアニメのTV放送には
アークエなどの前例があるのでこの位置に。
過剰なまでの舞台的演出で独特の空気を作り出すバーテンダーが六位。
ムシキングとシムーンはその挑戦的な雰囲気作りを評価。
ミュージカル&きわどいギャグという練馬大根は、
しかしサウスパークなどの海外アニメの影響を感じるのでこの位置。
最後は原作の魅力と監督の持ち味が融合されたxxxHOLiCに。

6 コミュニケーションツール評価

世間での話題性、またファン間やネット上での盛り上がりなど、
とにかく「ネタになった」作品を評価。
そういえばここでもMUSASHIがあれば入ったな……。

1位:涼宮ハルヒの憂鬱(地上波放送順)
2位:ふたりはプリキュアMaxHeart
3位:Fate/stay night
4位:うたわれるもの
5位:桜蘭高校ホスト部
6位:いぬかみっ!
7位:ひぐらしのなく頃に
8位:灼眼のシャナ
9位:舞−乙HiME
10位:おねがいマイメロディ

一位に関しては今更何も言うことはあるまい。
06年の話題はハルヒ一色となっていた。
プリキュアは、06年の大半で放送していたSSが
商業的には不振でシリーズにはブレーキがかかっていたが、
一応エントリー作であるMHの方は絶好調だったのでこの位置。
Fate、うたわれ、ひぐらしのPCゲーム組は、
同人出身のFateとひぐらしはその熱狂的ファンによるアニメ叩きで、
逆にうたわれはファンにも絶賛される見事なアニメ化で何かと話題に。
ハルヒと同じラノベ組では、ツンデレの大本命として注目されたシャナ、
マッチョネタや人骨送付事件などで何かとお騒がせだったいぬかみ。
ダブルハルヒの一角、ホスト部はその王道的な作りで
一般人気は高かったと思うのだが、そのぶんコア人気が弱かった。
人気作の続編としての使命を果たした舞乙が九位、
そして、最後に滑り込んだのがマイメロ。
話題沸騰といえばそうだったし、キッズ人気とアニメファン人気を
同時に獲得した作品だったのだが、このランキングではこの辺か。

7 萌え・サービス描写評価

ただエロいだけでは駄目なのだ!!
そのエロにどれだけの深遠さがあるのか、
エロにかける熱意があるのか、そういうことが大事なのだ!!

1位:ゼロの使い魔
2位:ストロベリー・パニック
3位:N・H・Kにようこそ!
4位:女子高生GIRL'S HIGH
5位:ウィッチブレイド
6位:ゼーガペイン
7位:涼宮ハルヒの憂鬱(地上波放送順)
8位:simoun−シムーン−
9位:うたわれるもの
10位:ちょこッとSister

作画のこだわりもさることながら、
現代を生きる青少年が抱える「釘宮声の貧乳少女に犬と罵られたい」という
切実な願望に真っ正面から向き合い見事表現したゼロの使い魔が一位。
マリみてインスパイアかと思わせてドロッドロの百合地獄における
女達の壮絶な肉体の奪い合いを描いていたストパニが二位。
駄目人間の妄想を的確に映像化したN・H・Kが三位。
上位三つに共通するのは、エロの中に現代的狂気が垣間見えることだ……。
対して、女子高生は本当に開けっぴろげなエロで、
興奮させるよりは下ネタとして笑わせる方向に突き抜けているのが良かった。
ウィッチとゼーガは、現代アニメにおける
「サービスシーン」というもののレベルの高さを感じさせられた。
レベル高過ぎて一般の視聴者はたぶん引くんだろうなぁ……。
ハルヒはこの位置。ハルヒってパンチラしててもコスプレしてても、
あんまりエロスは感じさせないんだよね。そこが広く受ける秘訣なのかも。
百合というよりは耽美と表現すべきシムーンがここで、
そういうシーンは少ないながらドラマとも合致して魅力的だったうたわれが九位。
最後はちょこシス。KEEPOUTさえなければ逆に一位だったかも……。

8 クオリティー安定度評価

同じ安定度ならば、1クールより2クール、
2クールより4クールの作品の方が当然上に評価されます。
ただ、1クールでもその安定が超高値ならば話は別。

1位:蟲師(地上波)
2位:涼宮ハルヒの憂鬱(地上波放送順)
3位:桜蘭高校ホスト部
4位:舞−乙HiME
5位:BLOOD+
6位:うえきの法則
7位:うたわれるもの
8位:Solty Rei
9位:甲虫王者ムシキング〜森の民の伝説〜
10位:おねがいマイメロディ

蟲師は地上波では途中までしか放送しなかったとはいえ、
2クールをあのクオリティで走り抜けたことは驚異的。
二位は1クール14話ながらやはり外せない京アニマジックでハルヒ。
ホスト部と舞乙は単に安定しているだけではなく、
各話ちゃんと手間のかかることをしていたのが印象的。
BLOOD+とうえきの法則は4クールを高値安定させていたのを評価。
うたわれとソルティは2クールとしては理想的な安定度だった。
最後に4クール安定ながらたまに崩れたムシキングとマイメロ。

9 キャラクター魅力評価

原作付き作品はアニメがキャラを生み出したわけではないので
評価を下げる傾向にありますが、声優や演出などで
アニメ独自の魅力をきちんと確立していたならその限りではありません。

1位:舞−乙HiME
2位:ゾイドジェネシス
3位:交響詩篇エウレカセブン
4位:simoun−シムーン−
5位:ゼーガペイン
6位:ストロベリー・パニック
7位:Solty Rei
8位:おねがいマイメロディ
9位:ガイキングREGEND OF DAIKU-MARYU
10位:ガラスの艦隊

――と、上で断っておきながら、結局オリジナルばかりになった。
またしてもハルヒの扱いに迷ったのだが、
確かに声優や演出の力でキャラ人気が加速したにはしたのだが、
その後のアニメでほとんど喋ってない長門人気や
出番のほとんどない鶴屋さん人気を考えると、
やはりアニメはあくまでブースターであって根っこは原作なのかなぁと。
シリーズとしてキャラ人気を重ね「育てる」という意識を
しっかり持っていた舞乙が一位。
完全に作品から独立するほどの魅力を発揮したレミコトを代表に、
ザイリンさんやフェルミなどサブキャラ勢も強力だったゾイジェネが二位。
好悪あれど人間臭いキャラを一年かけて作っていったエウレカが三位。
シムーン・ゼーガ・ストパニ・ソルティは、
それぞれ記号的な出発点から独立したキャラを作っていったのが印象的。
パラ様、シズノ先輩、夜々、役立たず四人組と、
揃って負け犬女キャラがいるのも何か象徴的だ……。
マイメロはもっと上でも良さそうだが、あれは基本的に
「実はこいつらサンリオキャラです」という背景があって
面白くなっている面もあると思うので、この位置に。
正統派のキャラ立てでちょい役に至るまで輝かせていたガイキング、
無茶な演出で否応なくキャラを立ててしまっていたガラ艦がラスト。

10 爆発度評価

一瞬のきらめき、刹那の衝撃、閃光の奇蹟、
ちょっと魔が差した、混ぜてはいけない薬品を混ぜた、
一度くらいならバレないと思った、ついカッとなって……。
まあ、そんな感じで瞬間的に何かやらかしてしまった作品を評価。

1位:おねがいマイメロディ
2位:ワンワンセレプーそれゆけ!徹之進
3位:いぬかみっ!
4位:マジカノ
5位:ゾイドジェネシス
6位:ガラスの艦隊
7位:RAY THE ANIMATION
8位:桜蘭高校ホスト部
9位:Gift〜eternal rainbow〜
10位:闘牌伝説アカギ

スタジオコメットが生み出した二大核弾頭がワンツーフィニッシュ!!
マイメロにしろ徹之進にしろ、クライマックスの展開はもはや伝説。
マッチョネタにぞうさんネタと、テレ東地上波という束縛を
まるで無視した奔放さを見せたいぬかみっ!が三位。
破壊的なギャグを連発したマジカノが四位。
続くのは、死んだはずの敵がCGサイボーグになって復活するなど
時折想像を超える展開を見せたゾイジェネ、
ライバル同士が激突すると裸になって吹っ飛ぶという
常識を超えた展開を見せたガラ艦、
義足の病院長がそれを軸に回転して敵を倒すという
もはや何のアニメなんだかさっぱりわからないRAYといった面々。
ホスト部は、たまにある安定度と爆発度を同時に取る作品となった。
たぶん、れんげさんのせい。
Giftは霧乃の、アカギは鷲巣様の狂気のおかげで滑り込み。

集計結果発表へ

06年の特徴として、例年ならばある程度の点を取って
「地味な佳作」と称されるであろう作品群が、
今回はまったくと言っていいほど点を取れていない。
無敵看板娘、おとボク、陰マモ、ザ・サード、
まじぽか、スクラン二学期、砂沙美1stなどなど……。
作品数が多いと、注目はむしろ少数に集中してしまうものらしい。
まさに格差社会の恐怖……!!
さて、そんな時代を生き抜いてベスト10に輝くのは果たして――?

06年TVアニメ感想総評
結果発表はこちら!!