第二孝

2002年度TVアニメ感想総評
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1・はじめに

独断と偏見で以ってベスト10でも決めようかと思ったのだが、
それだけでは面白味に欠くので、部門分けし点数方式にして、
客観性を確保した上でグランプリを選出することにした。

どういう点の付け方をするかというと――
1・総合完成度
2・作画完成度
3・独自性・作家性
4・コミュニケーションツールとしての有効性
5・爆発度

以上、計五つの分野でそれぞれベスト10を選出、1位から
順に10点、9点、8点、7点、6点〜とつけて、合計点が
最も高かった作品がグランプリ、である。

で、それぞれどういう基準で判断するのかだが。

1・総合完成度
これは、総合的によくまとまっているということ。
決して、総合的に素晴らしい、ではない。
それだったらその1位をグランプリにすりゃいいわけだから。
あくまでも脚本・演出・音楽・声優等のバランスを考える。

2・作画完成度
これは、上の総合完成度から作画だけを抜き出したもの。
何で作画だけ別にするかというと、他はてんで駄目なのだが
作画だけは無茶苦茶いいという作品や、逆に作画は
どうしようもないが、脚本と演出で見事にカバーしている、
という作品が意外と多いからである。ここで見るのは
主に作画の安定度。例えば、普段はヘタレ作画だらけ
なのだが、時々物凄い作画の回がある、というような
作品はここでは評価しない。全体通しての完成度を計る。

3・独自性・作家性
独自性と作家性は似て非なるものだが、面倒なので一緒にする。
独自性は、企画の斬新さや画面の新鮮さを見る。
作家性は作品からどれだけ製作者の感性や熱意が汲み取れるかを見る。
で、その二つを合わせた結果で判断を下す。

4・コミュニケーションツールとしての有効性
要するに話題性、どれだけネタになったか。
ネットで盛り上がったり、同人誌が沢山出たりという
世間をより騒がせた作品を評価する。

5・爆発度
作品としては決して高く評価出来ない……ああしかし!!
何だこの妙に人を惹きつけて止まない怪しい魅力はっ!?
そんな、ピンポイントでの爆発力を有した作品を評価する。

変なカテゴライズだが、普通にやるよりこういう区分けの方が
面白いだろう。さて、次はエントリー作品の基準。

2・エントリー作品紹介

エントリー基準は、2002年中にTVで放映されており、
かつ2002年中に放送を終了した作品。現在も放送中の
作品は省く。また、放送のほとんどを2001年中に行い
最終回だけ2002年という作品も、エントリーされる。
更に、これが一番重要だが。
筆者が真面目に観ていた作品に限る。
で、その条件を満たした作品が以下の通り――

七人のナナ
おねがい☆ティーチャー
アクエリアン・エイジ
キン肉マンU世
シャーマンキング
ヘルシング
ファイナルファンタジー:アンリミテッド
フルメタル・パニック!
爆転シュート ベイブレード2002
Dr.リンにきいてみて!
デジモンテイマーズ
キャプテン翼
サイボーグ009
ガイスターズ
RAVE
PROJECT ARMS
電脳冒険記ウェブダイバー
コメットさん☆
仰天人間バトシーラー
VANDREAD 2nd
フィギュア17 テレ東ver
Kanon
はじめの一歩
ラーゼフォン
旋風の用心棒
ギャラクシーエンジェル(第二期)
砂漠の海賊! キャプテン・クッパ
も〜っと! おジャ魔女どれみ
キックオフ2002
超GALS! 寿蘭
ポケットモンスター
ちっちゃな雪使い シュガー
.hack//SIGN
藍より青し
東京アンダーグラウンド
天地無用GXP
ちょびっツ
あずまんが大王
ぴたテン
フォルツァ! ひでまる
カスミン(第一期)
爆闘宣言ダイガンダー
王ドロボウJING
陸上防衛隊まおちゃん
朝霧の巫女
G−onらいだーす
Witch Hunterロビン
SAMURAI DEEPER KYO
しあわせソウのオコジョさん
灰羽連盟
超重神グラヴィオン
シスタープリンセスRePure
トータリースパイズ
ローリーポーリーオーリー
(順不同)

――って、観過ぎだよオイ!!!!
TVアニメ感想から拾ってきただけでこれだよ……。
我ながらよくもまぁこんだけ観てきたものだ。
しかもこれが全てではないのだ。そう、感想には
書いていない、TV神奈川放送作品がある!!

アベノ橋魔法☆商店街
円盤皇女ワるきゅーレ
りぜるまいん(第一期・第二期)
プリンセスチュチュ(第一期)
ハッピーレッスン
(順不同)

えっと、こんなもんか。ビッグオーは再放送だしな。
これも加えるとなると……ちょっと多過ぎる。
というわけで、いくつか削ろう。

ポケットモンスター、も〜っと! おジャ魔女どれみ、
爆転シュート ベイブレード2002、カスミン(第一期)、
プリンセスチュチュ(第一期)、の五作品は、一旦終了した
とはいえ、正統な続編が放送中の為、エントリー外とする。
ちなみにデジモンテイマーズは、フロンティアと直接的な
繋がりはないと判断し、ギャラクシーエンジェルは
監督が代わっているので別作品と判断。エントリーはそのまま。
あと、ローリーポーリーオーリーだが、これはいわゆる
「アニメ」の範疇ではないので、やはりエントリー外とする。

というわけで、エントリー作品数は53作品!!

3・総合完成度評価

さて、ようやく本題に入る。まずは総合完成度。

「コメットさん☆」「はじめの一歩」「VANDREAD 2nd」
「フィギュア17」「藍より青し」「ちっちゃな雪使い シュガー」
「あずまんが大王」「灰羽連盟」あたりが有力候補になるか。
「ラーゼフォン」は構成・脚本に難あり。「ちょびっツ」には
総集編が多過ぎた。「.hack」「ロビン」も、センスよくまとまっては
いるのだが、脚本に弱さが出ているタイプ。総合的まとまりには欠く。
大穴として、「超GALS! 寿蘭」「しあわせソウのオコジョさん」
というのも考えられる。一年に渡っての安定度は評価するべきだろう。

「一歩」と「あずまんが」は原作付きということで評価が少し下がる。
逆に原作を上手く再構成しているのが「藍青」や「寿蘭」だ。
「灰羽」は十三話なのでまとまりやすいというのも考慮すべきだろう。
う〜む、むずかしいところだが――

1位・コメットさん☆
2位・フィギュア17
3位・はじめの一歩
4位・超GALS! 寿蘭
5位・ちっちゃな雪使い シュガー
6位・あずまんが大王
7位・七人のナナ
8位・灰羽連盟
9位・しあわせソウのオコジョさん
10位・りぜるまいん

と、させてもらう。完成度の面で、「コメットさん☆」には
ちょっと文句のつけようがない。次にまとまりのよさで
「フィギュア17」。原作付きとはいえ一年以上の長丁場を
まとめ切った「はじめの一歩」。「寿蘭」は、平均点が
おしなべて高い。同じく平均点の高さで「シュガー」。
ただ、長さの面で「寿蘭」の方に軍配。6位以下はかなり団子。
「ナナ」は演出と脚本で他の要素をカバーしている。
10位は混戦だったが、まとまりのよさでは「りぜる」か。

4・作画完成度評価

何だかんだといっても、「ラーゼフォン」だろう。
作画だけは本当に凄かった。作画だけは凄いといえば
「ヘルシング」も忘れてはならない。他には、
CGロボ作画も見事だった「VANDREAD 2nd」、
最終回間際に超絶作画の嵐「はじめの一歩」「七人のナナ」
「シャーマンキング」「フルメタル・パニック!」、
常に高値安定だった「おねがい☆ティーチャー」
「藍より青し」「あずまんが大王」「りぜるまいん」、
崩れがないという点では「ちょびっツ」「灰羽連盟」
「ちっちゃな雪使い シュガー」なんかも入ってきていい。
「アベノ橋」の振り幅広い作画も忘れてはならない。
これも非常にむずかしいが――

1位・ラーゼフォン
2位・あずまんが大王
3位・藍より青し
4位・ヘルシング
5位・VANDREAD 2nd
6位・おねがい☆ティーチャー
7位・ちっちゃな雪使い シュガー
8位・アベノ橋魔法☆商店街
9位・ちょびっツ
10位・シャーマンキング

何で「あずまんが」が2位なのか、ということについては、
やはり終始安定、というのを最大評価すべきだろうという判断。
その辺で、時々崩れてた「一歩」「ナナ」「フルメタ」なんかは
脱落してしまう。ラーゼフォンもたまに崩れてたじゃん、という
意見もあろうが、あれはその欠点を補うほど、普段が凄い。
「藍青」は、エロ作画の気合でこの位置。「マンキン」は
あの動きまくる戦闘シーンを考慮しこの位置に。

5・独自性・作家性評価

まず「灰羽」。これは当然。次に「フィギュア17」。
意外や「デジモンテイマーズ」も個性は強い。
独自性では「アベノ橋」「旋風の用心棒」「.hack」。
作家性では「ロビン」、監督の熱意が見えるという
ことで言えば「グラヴィオン」だってそうだろう。

1位・灰羽連盟
2位・フィギュア17
3位・旋風の用心棒
4位・デジモンテイマーズ
5位・Witch Hunterロビン
6位・.hack//SIGN
7位・アベノ橋魔法☆商店街
8位・ギャラクシーエンジェル(第二期)
9位・超重神グラヴィオン
10位・七人のナナ

1位、2位は確定。3位は企画と伊達演出の勝利。
4位は後半の、暴走小中脚本に敬意を表して。
5、6、7位は監督以下スタッフの個性を評価。
8位は作品の個性が発するエネルギーを評価。
9位と10位は……監督の濃さが出てるので。

6・コミュニケーションツールとしての有効性評価

ネタになった作品を挙げりゃいいので、あまり悩む必要はない。
まず、いろんな意味で話題になった「ラーゼフォン」。
何故か海外でも受けてるらしい「あずまんが大王」。
作品の出来が良かれ悪かれいじられる「シスプリRePure」。
そして、2002年最大の鬼っ子「陸上防衛隊まおちゃん」。
そんなところを中心に考えていくと――

1位・あずまんが大王
2位・ラーゼフォン
3位・シスタープリンセスRePure
4位・藍より青し
5位・ファイナルファンタジー:アンリミテッド
6位・ちょびっツ
7位・灰羽連盟
8位・.hack//SING
9位・陸上防衛隊まおちゃん
10位・おねがい☆ティーチャー

同人受け、ネット受けを考慮すると「ラーゼフォン」より
「あずまんが」の方が上にくると推測。次に、前作や
その他の“現象”を味方につけている「シスプリR」。
「藍青」と「ちょびっツ」は、原作人気をアニメに
繋げた後者より、アニメが原作を牽引した前者の方に
高評価を与えたい。そして、それに挟まれるのは、
忘れちゃいけない不遇の迷作「FF:U」。
以下は、謎を語り合うのに向いていたりするタイプ。
ある意味「まおちゃん」も、そういうタイプ。

7・爆発度評価

これ、はっきりいってグランプリには何の影響も
及ぼさないかも知れない。しかしそれでも、
無視してはならないものがあるのだ。
いきなりランキングいってみよう!!

1位・キックオフ2002
2位・Dr.リンにきいてみて!
3位・電脳冒険記ウェブダイバー
4位・サイボーグ009
5位・ファイナルファンタジー:アンリミテッド
6位・爆闘宣言ダイガンダー
7位・アベノ橋魔法☆商店街
8位・トータリースパイズ
9位・りぜるまいん
10位・仰天人間バトシーラー

今回のグランプリは「キックオフ2002」なのである。
この作品は、あまりにも圧倒的過ぎる!! 第一話と
仙人の回だけで他作品を殲滅することなど容易なのだ!!
が、これをグランプリにすると筆者の人格が疑われるので
この場でアピールするに留めておく。2位の「Drリン」は、
後半の鬼畜兄貴覚醒に全てがある。兄貴さえいれば、
もう何もいらない!! 3位は、正統派な爆発力。
特に最終回の作画は神懸かったものすら感じさせる。
4位の魅力は、“落差”に尽きる。凄い回は物凄いんだよ、
けど酷い回も物凄いんだよ。結局ドンウーって何処なんだ!?
以下も、やはり正統爆発力や落差が魅力になっている作品。
「アベノ橋」と「スパイズ」のそれは計算されたものだが。

8・結果発表

さて、結果の発表です。
自分で点数つけといて何ですが、
筆者にも集計予想がつきません。
では、10位から順に発表――

って、同点8位が三つもあるわ。

いきなりそんなんか……気を取り直して8位三作発表!!

同点8位 コメットさん☆(10点)

同点8位 ちっちゃな雪使い シュガー(10点)

同点8位 キックオフ2002(10点)

すいません……爆発度での「キックオフ」1位が思いの外響きました……。
総合完成度で1位でありながら、それ以外ではランク外だった
「コメットさん☆」がこんなところになってしまった。
「シュガー」は総合と作画でランクインして、結果「コメットさん☆」と
同点に。何で作画で「コメットさん☆」を入れなかったんだろう?
意外とアクションシーンが多く、よく動いていたという印象が強い
「シュガー」に対し、「コメットさん☆」は安定し過ぎてて
動きの印象が薄かったんだろうな。OPとEDは動いてたんだが……。

では続いて、7位から5位まで。

7位 アベノ橋魔法☆商店街(11点)

6位 ファイナルファンタジー:アンリミテッド(12点)

5位 藍より青し(15点)

作画・独自性・爆発度でコンスタントに点を稼いだ「アベノ橋」が7位。
これは極めて順当な位置になったと思う。よくも悪くも実験作だしね。
そして、これはオドロキ。「FF:U」がこんな順位になるなんて。
コミュニケと爆発度で共に5位を取ったことでこの順位となった。
やはり筆者の中で、無視出来ない作品として居座っていたらしい。
5位は「藍より青し」。作画とコミュニケで高得点。筆者、自分では
この作品のドラマ部分を評価しているつもりだったのだが、何てことはない、
結局エロ作画とそれについて語り合う部分に最も魅力を感じていた模様。

では、第4位――

4位 灰羽連盟(17点)

総合完成度・コミュニケ・そして独自性の高評価でこの順位。
こういう作品が深夜とはいえTVアニメとして製作・放送
されたということ自体が意義深い。日本アニメの成熟の一端を示す。

そしてベスト3発表。第3位は――

3位 フィギュア17 つばさ&ヒカル テレ東Ver(18点)

総合完成度と独自性・作家性で共に2位を取り、総合では3位。
一時間放送、日常芝居への特化、丁寧極まる作画と演出、
どれもが他の作品とは一線を画す要素として注目に値する。
ただ――筆者が観たのは前後編に分けられた上、お風呂シーンとか
カットされまくったテレ東Verなので、この作品に100%の
正しい評価を下せない。ただでさえ地味な作品なのに、前後編に
分けられたことで、牛の乳搾りしてるだけの回とかが頻発して
しまったからなぁ。地味過ぎて話題性に欠いたのが惜しい。

続いて2位は――

2位 ラーゼフォン(19点)

作画で1位、コミュニケで2位、で総合2位。
この作品……本当に一体何だったんだろうか。
あれだけのスタッフ、あれだけの作画、あれだけの気合、
それで出来上がったのがエヴァのデッドコピーでしか
ないという現実。いや、これはエヴァのコピーだから
などということを越えて、とてつもない駄作だ。
しかし、美しい駄作だ。壮大な駄作だ。感動的な駄作だ。
ここまで見事にコケられては、もはや文句をつける
次元の話でもなくなる。そう、最終回感想にも書いたが、
駄作極めれば怪作!! なのだ。

そして――栄光の第1位は!!!!

1位 あずまんが大王(24点)

えっ…………。
ええええええええええええええええええええええっっっ!!!?
あずまんが1位かよっ!! しかも24点でぶっちぎりだ!!
自分で書いてて自分が一番驚いた……。TVアニメ感想読めば
わかるけど、筆者、この作品にそんな入れ込んでないぞ。
青感想だし、たまに書いてもそっけないし、それが何で1位……。
点数方式にして、自分の中で客観性を確保しようとした結果、
こうなったということなんだろうけどなぁ。意外だった。
まあ、作品としてこれが1位というのは、間違っちゃいない。
総合的なまとめ方。作画の完成度。話題性。どれもが高レベル。
しかし原作人気あっての作品という気もするし、何よりこれは
丁寧さの裏返しとして、非常に小さくまとめられた作品だ。
絞り込んだターゲットにピンポイント爆撃を食らわすような
性質のこの作品が1位取っちゃうってのは、2002年の
大作不足・本命不在の状況を表わしているとも言える。

9・おわりに

確かに、2002年は良作は多かったのだが、
これというインパクトのある作品に恵まれなかった。
それが「あずまんが大王」の1位という結果に
繋がったのだろうな。やはり巨大なマスターゲットを
狙った、万人受けする作品というのは、今後も
どんどん減っていくのだろう。そして、一部の人間に
熱狂的に支持される小粒な良作が大量生産されていく。
確実に、それが時代の流れなのだろうが、出来れば
家族全員で話題に出来るような間口の広さを持った作品が
年に1、2本でも生まれてくれればいいなぁと思う。

10・おまけ

ランク外になっちゃったけど、筆者は好きだぜランキングっ!!

1位・七人のナナ
2位・シャーマンキング
3位・VANDREAD 2nd
4位・東京アンダーグラウンド
5位・はじめの一歩
6位・サイボーグ009
7位・電脳冒険記ウェブダイバー
8位・ギャラクシーエンジェル(第二期)
9位・おねがい☆ティーチャー
10位・超重神グラヴィオン

改めて……変な趣味。