第三孝
2003年度TVアニメ感想総評
結果発表

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自己満足の為によくもまぁこれだけ観たり書いたりしたものだと、
自分で自分に呆れるが……まあそれはそれとして――

結果発表いってみましょう!!
まずは第10位――ではなく同点9位のニ作品から!!

同点9位 おねがい☆ツインズ(17点)
同点9位 LAST EXILE(17点)

作品全体を見れば問題点も多いが、
確かなコンセプトとクオリティーの高い作画で
固定ファンを確実に捕えたニ作品が同点でランクイン。

この二作が並んだのは面白いなぁ。
個人的にはどちらも「名作崩れ」という印象。
数年前までなら考えられないようなクオリティーを
全編維持して作られながら、何か物足りない。
それは受け手が贅沢に馴れてしまったからなのか、
それとも作り手が何かを忘れているからなのか……。

では続いて第8位。

第8位 フルメタル・パニック? ふもっふ(18点)

もっと高くてもよかったかも。
とにかく短期決戦であるのを差し引いても
とてつもないテンションとクオリティーを
全話貫いたのは見事の一言。
しかもギャグ作品でやってるからまた凄い。
笑えて、萌えて、奮える。
エンターテインメントとして完璧に近い仕上がりだった。
放送話数がもっと多ければ……。

それでは7位いってみましょう。

第7位 ぷちぷり*ユーシィ(19点)

……意外。
いや、個人的評価は物凄く高かったんだけど、
世間的な盛り上がりがゼロに等しかったので忘れてた。
もっと話題になってよかったと思うんだけどなぁ。
BS2が悪いのか? 十二国記みたいに地上波放送されて
ファンが増えることを望む。

続いて第6位――

第6位 おジャ魔女どれみ
       ドッカ〜ン!(22点)

これは四年間の積み上げの成果もあるかな。
長期に渡った名作の最終シリーズだけに完成度は絶品。
加えて細田守演出の「どれみと魔女をやめた魔女」など
傑作エピソードも多数。
本当に、四年に渡りこれだけクオリティーを保ち続けた
キッズアニメというのは空前絶後だと思う。

後半戦に突入、第5位――

第5位 花田少年史(26点)

これはもう、各方面に評価されているので今更言うこともない。
これをアニメ化しようと企画し、成功させた
スタッフは本当に偉い。
日テレ深夜枠伝説は、未だに続いていく。

さあ第4位――

第4位 エアマスター(29点)

花田のあとにコレですよ、日テレ深夜恐るべし!!
あの原作をどうすんだと思ったら、まさかあそこまで
痛快無比にアニメ化してくれるなんて……!!
昨今、奇をてらったりカッコつけたりするアニメが多い中、
ド直球ド真ん中で視聴者を切って取った豪腕に心底感服。

そしていよいよベスト3!!

第3位 ヤミと帽子と
        本の旅人(33点)

これを3位にしちゃう辺り、このサイトらしいなぁと。
終了直後で印象が強く残っていたというのを差し引いても、
やはり稀有な作品であることは間違いない。
時間軸を滅茶苦茶に組み替えた迷宮的構成。
あまりにも美しい一枚一枚の絵のクオリティー。
それをもって描かれるのは、義理のお姉ちゃんが大好きで
姉のベット潜り込んで一人エッチしちゃったり
姉のトイレの音盗み聞きしてハァハァしちゃったりする
長髪ロングスカート刀持ち少女が、その姉と糸引きキスするまでの話!!
こんな背徳的な作品、U系とはいえ地上波でやっていいのか!?
エロではなく官能的、萌えではなく耽美。
18禁パソゲー原作と、U系放送局という
2003年にブレイクした二つの要素が結実した
エポックメイキングな作品だと思う。

では……第2位!!

第2位 ボンバーマン
       ジェッターズ(38点)

2003年度で特徴的だったことに、
高年齢層や海外マーケットを睨んだいわゆる
「クールアニメ」がもてはやされた一方、
作品的には滑りまくったというのがある。
ラスエグ、狼雨、ガドガド……一番の徒花はL/Rか。
視聴者の中に、クールはもういいという感覚は確実にある。
そんな状況においてジェッターズの作りは革新的だった。

クールアニメなのである。
構成の組み方、演出の見せ方、作画のクオリティー管理、
全てクールアニメのそれなのである。

しかし題材がボンバーマン。

何でボンバーマンなんだっ!?
しかしそのミスマッチがたまらなくいい!!
これまで積み上げてきた日本アニメの技術は、
こういう形でいくらでも転用可能なのだ。
無理にクール気取らなくてもいいのである。
この作品自体が大きなムーブメントを起こすことはなかったが、
この作品が示した流れは、次に繋がっていくものだと思う。

そして……いよいよ2003年度TVアニメ感想総評、
トリを務める作品の発表です!!
その作品は――

第1位 機動戦士
   ガンダムSEED(45点)

……………………………………………やっぱり。
これだけ長々と書いてきて、面白くも何ともない結論に達したな……。

そうです。2003年は誰が何といってもSEEDの年なんです。
圧倒的話題性、商業的大成功、そして新旧ファンの喧喧諤諤大論争……。
全てはSEEDという作品が巻き起こした祭り。
しかし。
このSEEDという作品、未だに誰も総括出来ていない。
この作品が何でここまで受けたのか、または叩かれたのか、
様々に意見が飛び交っているが、明確な答えが出ていない。
もちろん筆者にもわからないのだが、筆者なりに考えてみた。

まず成功要因としては、若年層がアニメに餓えていたというのがある。
TVアニメは増加の一途を辿っているが、反面中高生が
リアルタイムにのめり込める作品となると、確実に減っている。
そこに土曜夕方六時放送のSEEDはぴたっとハマった。
派手な展開、格好いいメカ、感情を剥き出しにするキャラ達は
若年層の心にはこれまたバチっとハマっただろう。

一方古参のガンダムファンは、そういう要素を
「子供騙し」「商売っ気が見え過ぎる」と嫌ったわけだが、
それでもみんな、ちゃんと観てたしグッズも買っていた。
何故かといえば、高年齢層は嗜好が極めて細分化されているからだろう。
つまり「キャラは嫌いだけどプラモは買う」人とか、
「話はつまらないけどキャラには萌える」人とか、
「メカは気に食わないけど話は気になる」人とか、
それぞれ好きなところだけ楽しんで他は切り捨てていたのではないか?

同じラーメン食べながら、ある者は麺だけ食べてスープを残し、
またある者はメンマだけ食べて麺もスープも残し――
結局同じラーメン食べながら、同じ味を共有していない。
よって高年齢層では、作品評価に統一性がない。

SEEDはまず、「若年層向け」という器を作り、
そこに千差万別の嗜好に対応するあらゆる材料をブチ込んだ。
それがSEED成功の最大の秘訣だろう。

しかし、万人に箸を付けさせるところまで持っていきながら、
味で全員を満足させられなかったことが最大の罪ではある。
職人の腕の問題もあるが、それ以上に
材料入れ過ぎて味がぐちゃぐちゃになってしまったという、
裏方の問題が大きいわけで、そりゃ舌の肥えた客は怒る。

初期戦略は大成功を収めたが、あまりにも成功し過ぎて
身動きがとれなくなり、最終決戦に敗れた、という感じか。

SEEDが示した戦略は、今後アニメ界に浸透していくだろう。
しかしこの戦略はアニメを過度に工業化させる危険性がある。
過剰なメディアミックスで監督すらストーリーを把握し切れないという
無茶苦茶な事態を招いたことは、是非反省材料としてもらいたい。

だが、全体的に見ればSEEDの存在は
TVアニメの新たな可能性を開拓した作品として
評価されるべきだろう。

繰り返す。2003年はSEEDの年だった。

総評の総評

2003年は、非常によくまとまってるけど、
それ以上ではないという作品が多かった。

ベスト10に入った作品はそんな中で
スタッフの「熱」を感じるものが揃ったと思う。

で、2004年への展望――つってももう始まってるけど。

時代は「百合」だろうね。

始まりは2002年の「あずまんが大王」だった。
あれでみんな、何となく気付いちゃったんだよなー。
「萌えアニメに男って必要ないんじゃないか?」と……。

そもそも萌えアニメに男がいるのは、ラブコメや
ギャルゲーの文法をそのまま無批判に踏んでいたからだ。

ラブコメは物語の牽引役として男を必要とする。
けど別に物語を作るだけなら中心が男でなくてもいい。

ギャルゲーはプレイヤーの代替として男を必要とする。
しかし客観視点のアニメでそんなもん邪魔なだけだ。

視聴者が求めているものは女の子なんだから、
いっそ女の子だけで作品作っちゃった方が手間も省けて都合がいい。

更に言えば、男が中心にいる萌えアニメは女性蔑視のようで
女性ファン受けが悪いが、女の子しか出てこない萌えアニメなら
一見少女アニメなので女性受けもいいのである。

2003年度、女キャラ同士の関係をメインに描いた作品を
ぱっと思い付くだけでも挙げると――
キディ・グレイド、おねがい☆ツインズ、ぷちぷり*ユーシィ、
ストラトス・フォー、Avengerなどなどなど。
ヤミと帽子と本の旅人はモロだし、現在放送中の
R.O.D−THE TV−やカレイドスターも
百合要素満載である。
そして2004年、大本命!! マリア様がみてる始動!!

個人的には、ふたりはプリキュアもこの流れだと思う。
2004年は百合の年になるのか!? 要注目!!

……しかし長々書いて、最後がこんなんか。