2005年TVアニメ感想総評
結果発表

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さて、いよいよというかようやくというか……ともかく結果発表です。
まずは20位〜11位を一挙に発表。

20位 フルメタル・パニックTheScondRaid(12点)

同点19位 テニスの王子様(13点)
同点19位 SHUFFLE!(13点)

同点17位 ファンタジックチルドレン(15点)
同点17位 ふたりはプリキュア(15点)
同点17位 スピードグラファー(15点)
同点17位 LOVELESS(15点)

13位 スクールランブル(17点)

12位 MONSTER(19点)

11位 かみちゅ!(20点)

フルメタTSRが20位……!!
クオリティーの高さは文句なしだったんだけど、
一つ一つの要素であまり突出するものがなかったか。

同点19位の二つは、原作を独自に広げていったという点で
共通項はあるな。かなり無理矢理だけど。

同点17位が四つ。
この方向性もターゲットもまるで違う四つが同点になるとは、
ちょっと奇跡的だ。

13位がスクラン。もっと上でも良かったはずなんだけど、
やはり原作付きというのは多少ネックになったかな。
高松信司監督による、TVアニメの既成概念すら
破壊しようとするぶっ飛んだ演出の数々は、
マンガ原作アニメ、萌えアニメといったものに漂う閉塞感を
打破していこうとするエネルギーに満ちていた。

12位は、その原作付きアニメの究極形を目指したMONSTER。
あらゆる面で職人芸を感じさせる完成度だった。

そして11位がかみちゅ!。
実はトップ5くらいに食い込むかと予想していたので、
自分でランキングしたくせに何か不満だ……。
まったり系なんでキャッチーさに欠けたというのはあるかな。

それでは、次からトップ10の発表です。
まずは第10位……って、毎度のことながら
10位が同点で三つあります。

同点10位 陰陽大戦記(21点)

同点10位 創聖のアクエリオン(21点)

同点10位 絶対少年(21点)

これまた方向性の全然違うのが同点になったなぁ……。
陰陽大戦記は、玩具販促アニメの限界を突き抜けて、
作画的アベレージの高さ、活き活きとした演出、
現代的な少年成長主題の消化など、
総合的に極めてレベルの高い作品だった。

一方、創聖のアクエリオンと絶対少年は、
それぞれ河森正治、望月智充という独特のセンスを持った監督が、
完全に自分色の作品として仕上げたもの。
バカっぽさを押し出したエンターテイメントと
叙情的な雰囲気を積み上げていく純文学テイストという
方向性の違いはあるが、考えてみるとそこに監督をはじめとした
スタッフの価値観を流し込んでいくという方法論は同じなのかも。
また、ベテランの域に入ってきた二人の監督が、
TVアニメという土壌でこういう作家性の強い作品を
送り出してくれるという状況にも幸せを感じる。

では、次は単独7位――

7位 GetRide!アムドライバー(25点)

アムドラが7位かー。
放送開始当初はまったく話題にもならず、
どうしようもない駄目アニメで終わるだろうと思われた作品だったが、
中盤からの怒涛の盛り上がり、同時に駄目駄目だった作画や演出も
切れ味を見る見る上げていく凄まじい確変ぶりだった。
エピソードを思い起こせば、セラ×パフの百合展開、
セラ殺人初体験で鬱突入、シシー死亡、ロシェット発狂、
キャシー暴走、シーン死亡、ジェナス地獄変、ガン・ザルディさん大暴れなど、
もう名エピソードには本当に事欠かない。
キャラも迷言、珍言の多さと相俟って実に魅力的だった。
ただ、単に勢いだけの作品ではなく、
過去のリアル系ロボットアニメやプロテクターヒーローものなどを
充分に研究した上で冷静に再構築していったという面もあると思う。

さて、では6位。

6位 ガン×ソード(27点)

谷口悟朗監督以下、木村貴宏、まさひろ山根など
サンライズ作品で腕を振るったスタッフ達が
新天地に移り生み出した、痛快娯楽復讐劇が6位にランクイン。
正直、最初は谷口監督の個性と脚本の倉田英之の個性、
そして地味目のデザインに挑戦したキムタカキャラなどが
上手く噛み合っていない印象が強かったのだが、
そこはさすがに職人・谷口悟朗、回を重ねるごとに確実に修正し、
1クールを終える頃にはすっかり「スクライド」を思い出させるような
熱量を生み出すことに成功していた。
「リヴァイアス」「スクライド」そして「プラネテス」のような
テーマ語りの力強さは封印されていたが、
その代わりに純粋な娯楽としてのアニメの楽しさが凝縮されていた。
個人的に、谷口悟朗は「ジャンプスーパーアニメツアー版ワンピース」から
一つとしてハズレを撃っていないという驚異の監督だったのだが、
このガン×ソードで更に連勝記録を更新してしまった。
一体どこまで続くのか。次回作にも今から期待。

そしていよいよトップ5に突入。

5位 ハチミツとクローバー(31点)

フジテレビが放つ新たなアニメ受容の形、
「ノイタミナ」枠第一弾作品が5位。
この作品を語る際のポイントは三つある。
まずは原作の人気。マンガ業界においても、
原作ハチクロは05年を代表する作品として取り上げられている。
何よりも最初に原作の人気と完成度があることは念頭に置かねばならない。
その上で、アニメ作品としての完成度の高さを考える。
原作のタッチを生かした水彩画風の絵作りがまず素晴らしい。
原作ファンを納得させることにかけては右に出るもののない
黒田洋介の脚本がまた素晴らしい。
作品への愛に溢れた声優陣の熱演がとにかく素晴らしい。
スピッツをはじめとするオシャレな挿入歌の使い方が素晴らしい。
そして、カサヰケンイチ監督のギャグとシリアスを絶妙に切り替える
演出手腕が冴え渡っているのが素晴らしい。
あらゆる要素が奇跡的なまでに上手く相乗効果を発揮していた。
三つ目のポイントは、「ノイタミナ」という試みそのものへの評価。
コンテンツとして絶大な力を持ちながら、
未だ「オタクのもの」という認識から脱することの出来ないアニメを、
一般の、しかも女性に向けて打ち出そうとしたのは賞賛に値する。
誰もがやりたくて出来なかったことを、TV局側が戦略として
成功に導いていったというのも大きい。
フジテレビは05年においては、「電車男」という、
これまたアニメと一般を惹き合わせる役目を果たした作品を手掛けており、
05年のアニメ界に対する貢献度は相当なものだと思う。
06年には「ブレイブストーリー」など、
劇場アニメにも進出する予定なので、今後の動きにも注目したい。

それでは4位……ですが、また同点が二つ。
トップ4ニ作をまとめて発表です。

同点4位 ぱにぽにだっしゅ!(38点)

同点4位 機動戦士ガンダムSEED

             DESTINY(38点)

ぱにぽにだっしゅとデス種が同点4位!!!!
今更ながら、何だこのランキング!?
これは結構驚きました。ぱにぽにが思いの外高かった、
そしてデス種が思いの外低かった……。

まず「ぱにぽにだっしゅ!」ですが、
これは新房昭之監督以下スタッフ・スタジオが継続した
「月詠」からの流れを考慮しなけらばならない。
月詠において、新房昭之は何かとんでもないものを掴んだと思われる。
元々、幽遊白書などで映像的センスの塊のような仕事をしていたが、
その方向は「ヤマモトヨーコ」や「ソウルテイカー」で
完全に娯楽としてのバランスを欠いてしまっていた。
一応「コゼットの肖像」でその方向性は突き詰めたようだが、
一方でまったく違う切り口を模索していたのだろう。
で、月詠で偶然「映像ではなく構造をデザインする」という
可能性を発見したのではないか?
月詠で上からタライが落ちてくるというネタを盛り込んだのは、
確かスタッフの冗談をそのまま実現したからだったはずで、
最初からああいう方向を目指していたわけではない。
なので映像的なアプローチがまだまだ強かった。
それが、「ぱにぽにだっしゅ!」になって完全に構造で遊ぶ方向にシフト。
現在のアニメなるものをメタ的に徹底して破壊し尽くしていくような作風は
極めてパワフルで、一種感動的ですらあった。
まあ、エンジン掛かるまでに1クール、
フルドライブに達したあとエンジン壊れるのも早かったんだけど。
しかしこういう作品は、二度三度と出来るわけではないので、
今後どうなるのかはちょっと気になる。

で、デス種。
ええと、何だったんだろう本当に。
凄いことやろうとしていたのは間違いないんだよね。
現代日本において「アニメで戦争を描くとはどういうことなのか」を
きちんと考えていた。そして途中まではその問題に実に真摯だった。
が……いつものようにスケジュールが破綻し、
総集編&バンクの雨あられとなっていくに従って、
その高尚だったはずの取り組みも、プラモ発売の都合や
キャラ人気やメディアミックスの段取りの中に埋没していき、
最終的には「まとまらないことが、まとめなんだ」みたいな
レトリックに全てが吸い込まれていってしまった……。
それでも、遺伝子による職業選別、軍産複合体の暗躍、
理想論の空々しさと現実論の非情さなど、
語って語り尽くせぬだけの「種」は蒔いてくれた。
今という時代に必要な作品だったことは確実だ。
もしかしたら、それこそZガンダムのように二十年後には
物凄い再評価受けたりするのかも知れない。
そういう下地はきっちり作ったと思う。

それでは、第2位――

2位 巌窟王(39点)

前田真宏監督、GONZO制作による、
古典文学の華麗なる再構築作が2位。
とにかく、これぞまさに日本のアニメにしか出来ない映像表現。
そして日本の中でも、GONZOというスタジオにしか出来なかった。
この十年ばかり、海外のCGアニメの台頭や、
2DとCGの融合に苦心を繰り返していた日本アニメが、
この作品によってようやく報われたという感じすらする。
そしてそれは新たな自信にもなった、
日本のアニメは、まだまだ戦えると。
この作品自体の出来は、勿論素晴らしい。
テクスチャー貼りによる独特で豪華絢爛な映像美、
古典を題材にしながら現代性を失わず、
またエンターテイメントとしての強烈なヒキを持つシナリオ、
そして主演の中田譲治をはじめとする声優陣の熱演、
どれもこれも最高峰。
しかしそれ以上に評価すべきは、この作品がアニメの新たな地平に
果敢に挑んで、切り開くことに成功したことだと思う。

それでは……いよいよ05年TVアニメ感想総評、
ランキング1位の発表です!! 栄えある第1位は――

1位 舞−HiME(52点)

…………………………………………………あ、あれ???
ご、52点!? あれ!? 舞−HiMEが1位というのは、
まあ多少問題はあれど納得いくとして、けど52点!?
何でそんな突出したんだ!? 部門別で一つしかトップ取ってないのに!?
ああー、多部門で満遍なく6点とか7点とか取ってたんで、
その積み重ねでぶっちぎっちゃったのかー。
03年のSEEDや04年のハガレンが横綱相撲による
完全勝利だとすると、これは小技でポイント稼いで
逃げ切っちゃったって感じだなー。それが悪いわけじゃないんだけど。
ただ、何だかんだで05年を代表するのがこの作品というのは、
わからなくもないなぁ。現在放送中の続編、「舞−乙HiME」も含めて。

つまり、「企画をきっちり立てて、客の好みを満足させつつ
それを絶妙に裏切り、最後は多少あざとくてもハッピーエンドでまとめる」という
エンターテイメントの基本を極めて忠実に実行した作品だったということ。
考えてみると05年に流行った、
萌え・メイド・ツンデレ・新伝綺・修羅場・鬱、などなど、
ほとんどのものを網羅してるんだよなー。
改めて見るとほぼ完璧な企画だ……。
このマーケティングとデータベースとファンとの双方向性を大事にした
舞−HiMEが受け入れたれたことには、
時代が新たな方向に動いていることも感じられる。
キャラを役者に見たてるというメタ的な視点や、
別設定での続編を同年内に発表するという
フットワークの良さなんかも注目するべきだろうなー。
しかし、まだその舞乙が放送中なこともあって、
舞−HiMEに関しても詳しく分析出来る段階にないような気がする。
あと数年したら、ああ05年の舞−HiMEのヒットには、
こんな意味があったんだ、とあっさりわかるんじゃないだろうか。

総評の総評

今回は難航するだろうと思ってはいたけど、予想以上だった……。
まさに本命不在の大混戦。そのなかで舞−HiMEが飛び出したのは、
やっぱりサンライズの伝統に基づく地力の強さもあったのかもなぁ。
そういえば04年総評の総評でちょっと触れた、
アニメスタジオの淘汰問題。予想、外れた。
淘汰どころか新興勢力が次々出てくる。
それに対して老舗の攻勢もまた凄まじい。
04年にアニメバブルではないかと懸念されていたのは、
実はアニメ戦国時代突入の前触れだったのか……!?
そして、06年への展望だが、正直、今年はまるで読めない。
05年を引き摺るのであれば、この戦国時代は更に激しさを
増していくのだろうが、しかし一方で深刻なコンテンツ不足もある。
すでにマンガタイトルは撃ち尽くし、ライトノベルに活路を
見出そうとしているような状況だが、それも長くは続くまい。
オリジナル企画をそうポンポン出せるとも思えないので、
何かまた別の供給源が必要になってくるかも知れない。
例えば、海外。
すでにパワパフの日本版や、ウィッチブレイドといった企画が進行中。
または、古典。
巌窟王のような文学でもいいが、細田守監督での映画化が発表された
「時をかける少女」のような知名度のある作品をアニメ化するという手は
一般層を巻き込むという点でもかなり有効であると思われる。
ジブリも次回作には「ゲド戦記」を選択した。
ともかく、例えコンテンツ不足だろうか何だかんだで
企画は尽きないだろう。
あとはいいスタッフが育つこと、そしてそれと同じくらいに
重要になってくるのは、いいプロデューサーが育つこと。
ここまでくるともう本当に、人の勝負になってくるんだろうなぁ。
観ているぶんには面白い時代になりそう。
追いかけるのは大変だけど……。

あ、あと書き終わってから気付いたことが一つ。
「ケロロ軍曹」を第一期と第二期に分けて
エントリーに加えるべきだったかも……。
企画力とかパロディとか一般層を巻き込むとか、
05年的な事象が集約しているのはケロロだったような気がする。
今からやり直す気力はとてもないんで、これはあくまで独り言ー。