結果発表
さて、まずは第10位から――と言いたいところなんですが、
例によって同点が三つ並んでしまいまして、同点8位から発表となります。
が、それだと何だかベスト10発表の気分が台無しなので、
せっかくですから先に20位~11位を発表したいと思います。
同点20位 ハングリーハート(地上波)<10点>
同点20位 リングにかけろ1<10点>
同点18位 魁!! クロマティ高校<11点>
同点18位 遊☆戯☆王デュエルモンスターズ<11点>
同点16位 サムライチャンプルー(地上波)<12点>
同点16位 アストロボーイ・鉄腕アトム<12点>
第14位 攻殻機動隊S.A.C.(地上波)<13点>
第13位 光と水のダフネ<14点>
同点11位 R.O.D-THE TV-(地上波)<16点>
同点11位 マーメイドメロディぴちぴちピッチ(含むピュア)<16点>
……こっちの方が同点だらけだった。
まあそれだけ僅差の争いが繰り広げられたのだということで納得して下さい。
注目すべきは13位のダフネ。攻殻より上になるとは……。
RODとピッチが同点で11位というのも何か凄い。
では今度こそ第10――ではなく同点8位三作品、発表です。
同点8位 ガングレイヴ<17点>
同点8位 忘却の旋律<17点>
同点8位 MADLAX<17点>
この三つが並ぶというのは、納得であるような不可解なような不思議な気分。
忘却とMADLAXはわかるんだけど、ガングレイヴはもうちょっと
上でもいい作品だよなぁ。ニ部門でしか得点出来なかったのが痛かった。
EDだけなら音楽部門で入れたんだろうけど……。
この三作に共通しているのは、「監督の個性が見える」ということかな。
ニ作品は黒田洋介が脚本を担当しているが、作品の色はまるで違う。
ここ数年の真下耕一演出の集大成であるMADLAX。
伊達勇登作品のOPで尋常ならざる仕事を続けてきた都留稔幸の
初監督作品であるガングレイヴ。
どちらも演出家としてのセンスが爆裂していて実に充実していた。
忘却も「日本一忙しいアニメ監督」と呼ばれるようになった錦織博が、
原点であるウテナ的演出に立ち返り、新境地に至ったことは注目したい。
それでは、第7位――。
第7位 超変身コス∞プレイヤー&ヒットをねらえ!&
LOVE LOVE?(三作合同)<18点>
ええええええ~~~!?
というわけで今回のランキング、最大の驚きがこれ。
独自性・作家性と萌え・サービスのニ部門で高位ランクインした結果、
こんな場所にこの作品が登場してしまった。
確かに、安易なエロ・萌えをウリにした作品が乱発された04年の中で、
それを地で行きながらそれだけで済まない作品になったという点で、
注目すべき作品ではあった。あったが……7位はないだろー。
気を取り直して、第6位――。
第6位 マリア様がみてる(含む春)<19点>
実はあんまり点数伸びないかなぁと思っていたのだが、
終わってみればさすがの貫禄。
何だかんだで04年を代表する作品。
百合ブームの立役者として見られることが多いが、
むしろその役割は安易な萌えブームに終止符を打ったということではなかろうか?
この作品以降確実に、女の子一杯出しときゃそれで済む的な作りが
許されなくなったように思う。
しかし、一番凄かったのはこの作品を日曜朝七時半に放送していた
この国の状況だよなぁ……。
では第5位……ですが、また同点で4位が二つです。一緒にどうぞ――。
同点4位 無人惑星サヴァイヴ<25点>
同点4位 蒼穹のファフナー<25点>
素晴らしい美点と致命的な欠点が同居するニ作品が同点4位。
ファフナーの美点と欠点は言うまでもない。冲方脚本の素晴らしさと、
それを際立たせるばかりだった前半の駄目さ加減……。
羽原監督を始めとする演出陣も、後半はうなぎ昇りによくなっていた。
本当に、放送前の段階でもう少し練っていればと悔やまれる。
サヴァイヴの美点は、この時代に名作劇場的な作品を復活させた功績と、
ファミリーアニメでありながら濃いファンをも掴む魅力的な
キャラクターと物語を創造したことに尽きる。
一方欠点は、長丁場であったが故に、途中迷走した部分があったり、
SF設定が最初から最後まで極めていい加減だったことなどが上げられる。
ただし、美点が欠点を遥かに上回っていたことは間違いない。
いよいよベスト3の発表です。まずは第3位――!!
第3位 プラネテス<35点>
これはもう、総合完成度の高さで言えばダントツ。
とにかく徹底徹尾、「大人の仕事」だった。
魅力的だがアニメ化するには分量の足りない原作、という素材に対し、
谷口悟朗・大河内一楼・千羽由利子という料理人の組み合わせの妙。
結果起こったケミストリーの素晴らしさを見よ。
全てが全てを活かし合う、極上の料理がここに完成した。
ただ、唯一気になったのが過去の谷口作品でも見られた
「まとめ方が上手過ぎる」という贅沢な欠点。
原作のこともあったんで仕方ないんだろうけど、
もし谷口悟朗があの才覚のままに暴走を始めたら
一体どんなものが観られるんだろうとちょっと期待してるんだよなぁ……。
それでは、第2位――。
第2位 カレイドスター~新たなる翼~
(含む無印)<49点>
本来ならばぶっちぎりで1位なのです。
何せ03年の1位、ガンダムSEEDの45点を抜いているわけですから。
もうほんと、アレさえなければ04年はカレイドの年だった!!
魅力的なキャラ、熱血のストーリー、斬新な設定、動きまくる作画、
そして迸る健康的エロス!!!! 全ての要素が素晴らしかった!!
惜しむらくは放送時間が悪過ぎて視聴率が伸びなかったことと、
当初の「日韓合作」的なニュアンスが嫌われたことくらいだろうか。
結果的に見ると、韓国との作画分担はクオリティーの底上げに
一役買っていて、04年アニメ界にも意外と吹いていた韓流の風を
最も効果的に利用していた作品だったように思う。
だが、この作品で作画を語るとどうしても、
「ロゼッタマスター」和田高明の話題になってしまう。
九十年代中盤以降、アニメーターが名を上げる場合それは大抵、
キャラデザか一枚絵での魅力によるものだった。
そういうアニメーター不遇の時代にあって、「動き」で周囲を
惹き付けた和田高明の仕事は04年における重大な出来事だろう。
実は04年の作品は「動き回帰」というか、アニメは動かしてこそだという
原点回帰的な作品が多数生まれた年でもあった。
劇場ならば(見てないけど)今石洋之「DEAD LEAVES」、
湯浅政明「マインド・ゲーム」、TVでもRODや十兵衛ちゃん2といった作品が
TVアニメの常識を超えるような動画枚数を投入して無茶苦茶に動かすという
気持ちのいいことをやってのけていた。
だが、それらのほとんどが監督自身の力量によるものだったり、
すでに名のあるスーパーアニメーターの起用によって成されたものだったのに対し、
カレイドの時点で和田高明はほぼ無名。
そのほぼ無名のアニメーターに舞台を与え、見事爆発させた
スタッフワークのよさは近年稀に見るものだ。
カレイドスターにはそういう場のエネルギーを感じた。
まさに作中のカレイドステージそのままに……。
それでは、いよいよ2004年TVアニメ感想総評、
ランキング第1位を発表致します。栄えある第1位に輝いたのは――!!
第1位 鋼の錬金術師
<57点>
……何も言うことはない。あまりにも圧倒的過ぎた。
03年のガンダムSEEDが、どちらかというと話題先行で
中身が伴っていなかったのに対し、ハガレンはもう
脚本から演出から作画から声優から何から何まで全てがやり過ぎ!!
あまりのオーバークオリティーぶりに中盤以降は震えっぱなしだった。
作画動き、キャラは萌え、テーマは志高く、表現は極点を目指し、
全てにおいて王道でありまた挑戦者でもある。これ以上何を望めというのか?
ただ一つ引っ掛かるのは、これを作ったのが水島精二だってことなんだよなぁ……。
ガウルからのファンだから悪く言いたくはないんだけど、
正直物凄い監督じゃないぞ。調整型の監督がこういう作品を生み出すというのは、
最終回感想でもちょっと書いたけど、時代の変化ということだろうか……。
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